観察日記トライアングル企画については、帰宅後すぐに書き始めても日付変更に間に合わない状態でした。
表現手段を変えようと思いますので一旦中断致します。
折角作った世界とキャラクター達と関係ですので、これで止める訳ではありません。
今後とも穂香のこと、よろしくお願いします。
律子に貰った招待状。開演時間は14:30。
それまでは一緒ですとせがまれて朝イチから小夜の家へ遊びに行った。
お昼もご馳走になってしまって...。
小夜と一緒に桜花へ出かける。来年はこうして二人で通うんだろうな。
受付を済ませて体育館へ。失敗した。もうちょっと早く来るべきだった...。
早紀は一番前の席に陣取っている。さすがだ。
体育館は遮光カーテンが閉じられていて、壇上は暗幕が下りている。中はきっとてんやわんやだろう。
公演開始のアナウンスが入り、照明が落ちる。舞台の幕が上がっていく。
音楽とともに劇が始まった。
「穂香先輩、楽しみですね。」
「うん。でもおしゃべりは駄目よ。」
律子はすぐに出番がやってきた。主役だから当然か。演劇は中学の時やってないって聞いてたけど、すごい上手...マイク使ってないのに体育館にしっかり声響いてるし。
他の出演者も、全員1年って言ってた気がするけどそんな風には見えない。
小夜も舞台に釘付けになっている。
劇は順調に見せ場を重ねてゆく。やっぱりシナリオの力もすごいと思う。演じ手も負けていない。絶妙なバランス。
律子...伸び伸びと演技しててとても綺麗...。
どんどんと進行していく劇。やがて最後のシーン。ちょっと涙出たかも。小夜も同様みたいだ。拍手する。体育館に拍手が鳴り響く。幕が下りる。照明が点く。
しばらくして再び幕が上がる。出演者全員、並んで一礼。再度拍手が沸き起こる。
出演者は裏手から出て行った模様。早紀に声かけようとしたけど追いかけて行ったみたい。
ま、今日は邪魔しないでおこう。
「小夜、帰ろっか。」
「はい。」
案内に従い退場する。感想は...。また明日会えるからその時でいいや。
小夜と一緒に帰る。
今日はこのみ先輩がいないから、正規のルートで。
「小夜、道がいつもと違うでしょ?来年はこの道を一緒に帰るんだよ?」
「はい!受験、頑張ります。」
「今日の劇、最高だったね。」
「”aki”先生のシナリオをきちんと活かしてましたね。とっても良かったです。」
「”aki”先生の彼女が出てたの知ってる?」
「えっ!誰ですか!隠さないで教えて下さい!」
「主役の子いたでしょ、あの子。」
「ああ、テニス部見に行った時にお会いした!!」
「綺麗でしょ、あの子。」
「でも私は穂香先輩がいいです。」
「よしよし。いい子だなぁ小夜は。」
頭をわしわしする。
「子供扱いするのやめて下さい...。拗ねますよ?」
「ゴメン。かわいくてつい...。」
「ならいいです。」
私の家に着く。寄り道しない分いつもよりちょっと早い。
「じゃ、小夜、また明日。」
「はい。雨降らないといいですね。また明日。」
小夜を見送る。見送って家に入った。
今日はいいもの見させてもらったなぁ。律子にお礼言わなきゃ。
早紀の本読んでちょっと寝不足...でも定刻通り教室へ。
律子と早紀とハイタッチ。
着席する。授業が始まる。
淡々と進む授業。ちゃんとついて行けている。
昨日は早紀の本に夢中だったけど、最近は部活終わって帰ってから勉強している。
テスト、思ったよりは良かったけど、律子と早紀にもっと近付きたいから。
午前の授業が終わる。昼休み。
いつも通り3人でお弁当を食べる。
小夜との約束を果たさなきゃ。早紀に声をかける。
「ねぇ、早紀ちょっといいかな。」
「何?どうしたの改まって。」
「あの...さ、だいぶ前、小夜に会ったじゃんね、覚えてる?」
「え、ああ、あのかわいい子。穂香の彼女でしょ?覚えてる。」
「悪いんだけど、今度小夜の家に一緒に遊びに行ってくれないかなぁ?」
「うーん...。」
「早紀が”aki”先生との住み分けしたいのは重々分かってる。でもそこをなんとか。お願い!」
「いいよ。小夜ちゃんは口固そうだし。」
「サンキュー早紀!ありがとう。」
3人とも、お弁当を食べ終わる。
早紀が何か言い出す。
「私、やること思い出した。」
「何?どうしたの?」
律子が心配そうに声をかける。
「大した事じゃないよ。」
そう言って早紀が壇上に上がる。
「すみません、ちょっと聞いて下さい。文芸同好会の烏森です。昨日発行した本ですが、おかげさまで完売となりました。が、発行部数が足りず行き渡っていないと伺いましたので重版を行います。入手希望の方はクラス単位に予約を集計しますので、名前と希望部数を書いて、集計出来次第私まで提出下さい。1組は私が直接集計します。よろしくお願いします。」
一礼して壇上から下がる。ざわめき出す教室。
早紀は教室を出て行く。きっと同じ事を他のクラスでも言ってくるのだろう。
律子が紙に表を書き始めた。予約集約表だ。さすが彼女。ナイスフォロー。
「烏森さん今他のクラスで宣伝してるので、もう予約したい人は教えて。代わりに聞くから。」
律子の声はよく通る。早速予約希望者が申し出てきた。
律子が申し出た子が誰かを確認して名前を書いて、希望部数を聞いて書き込む。
早紀が戻って来た。机の上の集約表を見て驚いている。
「これ...誰がやってくれたの...?」
ニブすぎるぞ、早紀。律子以外に一体誰がそんな気を利かせて。
「律子に決まってるでしょ。お礼言いなよ、早紀。」
「ありがと...律子。」
他のクラスからも集約表が届く。なんと...5組(男クラ)からも。
お昼が終わる。午後の授業が始まる。
今日は晴れ。テニス日和だ。
放課後までこの晴天が続く事を祈る。
無事、晴天のまま放課後になった。
律子と早紀に見送られて、テニス部へ。
今日も3年集団に混じって練習。私はこの先輩達に追いつくだけではいけない。
追い越してこのみ先輩の相手ができるレベルに達しないといけないのだ。
気合いが入る。
思う存分練習して、ミーティングの時間を迎える。
あいかわらずひとみ先輩の各自への指導・助言は的確だ。
ただ、私にはもうない。きっと、必要になった時には声をかけてくれるだろう。
ミーティングも終わり、解散。
小夜がやってくる。
このみ先輩と合流して、3人で帰る。
「どう、3年集団との練習は?キツい?それともヌルい?」
「そりゃまぁ、このみ先輩との特訓に比べちゃうとヌルいかもしれませんけど...まだキツいですよ。」
「そっか。でも早く出て来てね。私と撃ち合いして、レベル合わせしなきゃいけないんだから。」
「はい。それは十分承知しています。」
「それがわかってれば宜しい。あ、なんか私、今部長ってカンジだったよね、ね。」
「はいはい。このみ先輩はちゃんと部長してますよ。」
「なんかおざなりな言い方。ね、小夜ちゃんもそう思ったよね?」
「穂香先輩はめんどくさがりなとこがありますからね。でも部長さんとして尊敬してると思いますよ?」
「小夜、ナイスフォロー。」
「小夜ちゃんに褒められちゃった...。ちょっとうれしい。ねぇ穂香、小夜ちゃんだっこしていい?」
「駄目です。」
「ちょっといいかも...。」
「えーっ!、小夜、いいの?ていうか私が嫌!」
「このみ先輩、穂香先輩が駄目って言うから遠慮します。」
「穂香はケチだなー。」
「ケチで結構です。」
「じゃ、代わりに穂香をだっこする。」
逆らえない身長差。悠々とお姫様だっこされてしまった。
「うん、絶妙な抱き心地。案外重くないのね。」
「オロシテクダサイ。」
優しく降ろされる。
分かれ道。
「さて。分かれ道だね。それじゃ、二人ともまた明日。」
「お疲れ様でした。」
「バイバイ!このみ先輩!」
このみ先輩を見送る。見えなくなったので小夜と歩き出す。
「穂香先輩、今日は合格です。」
「え、何が?」
「減点1。」
「ああ、このみ先輩への対応か。厳しいなー。」
「お姫様だっこ、駄目って言ってくれてうれしかったんですよ?」
「うん、わかってる。」
「だから。穂香先輩が次にすることは?わかりますよね?」
小夜をお姫様だっこした。前にもしたけど、羽根のように軽い。
「穂香先輩、今日はわかってるなー。加点+1。」
ゆっくりと、小夜を降ろしてあげる。
「ねぇ小夜。aki先生の本もう読んだ?」
「当然。読みましたよ。玲の健気さは異常ですね。感情移入しちゃいます。」
「私は美紅派かな。読み返して夜更かししちゃった。」
「ところで、例の件、どうなりました?」
「早紀、来てくれるって。小夜ちゃん口固そうだからまぁいっか、だって。」
「やったー。来てくれるんだ!...で、いつですか?」
「そこまでは、まだ決まってない。早紀にも都合あるだろうから。」
「そうですよね。私はいつでもいいです。楽しみだなー。」
「小夜に喜んでもらえて交渉した甲斐があったよ。」
「はい。ありがとうございます。」
私の家の前に着いた。
「小夜、キス。」
「はい。」
おやすみのキスを交わした。
「それじゃ、小夜、また明日。」
「はい、おやすみなさい。穂香先輩。」
小夜を見送る。
小夜、軽くて抱き心地良かったなぁ...。このみ先輩がしたくなるのもわかる気がした。
今日も普段どおり登校。律子と早紀とハイタッチ。
だが、今日は早紀のソロ本の頒布があるのだ...。
平然と注文する。
「早紀、5部確保よろしく。」
「はいはい...。律子の分もね。」
「いえ?私は買いに行くわよ?」
律子は早紀をイジりに行きたいらしい。私もそうしたくなった。
「私もそうしよっかな。」
オロオロする早紀。楽しい。
授業が始まり、ワープしたかのように終わる。
お昼休み。早紀は急いで準備に駆け込む。
頒布は12:30開始。お弁当食べてて余裕で間に合う。
そういう訳で珍しく律子と二人きりでお弁当。
食べ終わって話してて、二人で考えた。
「早紀に”aki”先生のサインを書かせよう。」
そう申し合わせて文芸同好会へ。
結構な人だかり。
見物客を押しのけて、早紀の元へ。まずは律子から。
「あの、”aki”先生のサインいただけます?」
サインペンを持って。本の裏表紙にサインを書いてもらっている。
「こんな感じで良かったでしょうか。ありがとうございます。」
これで、桜花の1年烏森早紀と、謎の作家”aki”先生が結びついた。
笑顔で応対している早紀。はらわたは煮えくり返ってるだろう...。
私も便乗。
「5部いただけます?ファンの子に頼まれてて。サインお願いします。」
「はい、喜んで。」
絶対喜んでない。
ミッションを終えた二人は、完売を見届けて教室へ戻る。
教室で、帰ってきた早紀を出迎える。
「早紀、完売おめでとう。」
「うん...。でもまだ欲しい子けっこういるみたい...。予約取って重版お願いしようかな...。」
「早紀ったらすごいよ!たった30分で瞬殺だもん...。これはチェックされるよー。」
「そういうの、私嫌なの...。akiはaki、早紀は早紀でいたいの。誰かさんがサインとか言い出すから全部パーよ...。バレちゃったじゃない!」
「遅かれ早かれバレるって。気にしない。次から堂々とできるでしょ。」
腹黒い。腹黒すぎるよ律子...。
先生が入ってくる。
「あー。今日文芸同好会がまた何か出したらしいが、先生は買えなかった。悲しい。よって内職した者を発見したら没収する。」
危ない...猛烈に内職しようとしていた所だった...。
やがて午後の授業も終わり。放課後。
律子と早紀に見送られ、テニス部へ。
今日から3年集団に混じっての練習である。異例中の異例だ。
いつ落とされてもおかしくは無い。
だかこのみ先輩の願いは叶えてあげたいから頑張る。
練習はキツかった。でもこのみ先輩との特訓のほうがよっぽどキツい。
キツさにもいろんな味があるってだけだ。
やがて練習も終わり、ミーティング。ミーティング後、ひとみ先輩が声をかけてくれた。
「練習、キツいと思うけど、大丈夫?無理だけはしちゃ駄目よ。」
「キツくないといったら嘘になりますが、ついて行けてます。大丈夫です。」
「安心した。何より、楽しそうだもんね。頑張って。」
「はいっ!」
解散となる。小夜が寄って来る。
「穂香先輩ー!」
抱きとめる。
「いつもかっこいいですけど今日は光ってましたよ。」
「ありがとう、小夜。」
「あーもー百合百合光線放射しちゃってまぁ...私も混ぜろー!」
このみ先輩が乱入。
「このみ先輩、抱きつかないで下さい。重いです。」
「重い...この私が重い...そんな馬鹿な...!」
「あー嘘です。ちょっと鬱陶しいだけです。」
「穂香の口から鬱陶しいなんて言葉が...ああもうショックで生きてゆけない...。」
「あーもう!嘘、嘘です。このみ先輩はもっと先輩らしくして下さい。」
「穂香先輩は私のです。あんまり困らせないで下さい。」
「ああ...小夜ちゃんにまで...生きてゆけない...なーんてハグハグ。」
小夜に抱きつく麗子先輩...れいこせんぱーい、そのこちゅうがくせいですよ?
「こうやって穂香先輩を篭絡しているのですね...恐るべし...。」
「冗談はともかく、小夜に頼まれてた本買ってきたよ。ほい。」
「ああっ!裏にサインまでいただいて...ありがとうございますっ!」
「あ、それ麗子のとこのコの本でしょ、私も買ったよ。」
「何気にこのみ先輩もこういうの読むんだー。」
「あーっ。今何か馬鹿にされた気分。会報の文章良かったから買ったんだよ。」
分かれ道にさしかかる。
「あっ、じゃぁ私こっちだから。穂香、小夜ちゃん。またね。」
「お疲れ様でしたー。」
「このみ先輩またねー。」
このみ先輩を見送る。
「さて、穂香先輩。さっきだいぶいろいろと見せ付けてくれたのは腹に据えましょう。」
「ハイ、アリガトウゴザイマス。」
「で、この本にサインが入っているのは何故ですか?あらかじめ全部書いてあった?」
「いや、書いてもらったよ?」
「目の前で?」
「うん。」
「どうしてどこの誰だか確認して報告してくれないんですか!」
「いや...あの...小夜さん、同好の士に秘密にできる?」
「私と穂香先輩の仲じゃないですか?秘密は厳守します。」
「あのね...クラスメイト。でお友達。が書いてたの...。」
「穂香先輩がそれを知ったのは今日ですか?いつですか?」
「ちょっと前、かな...。」
「今日のサインではっきりしたんじゃないんですね、小夜に嘘吐いてたんですね...。」
泣き出す小夜...。これは、私が悪い。
「小夜...ゴメン。でも本人の意思だったんだ。表に出たくないって。」
「でも私にだけは内緒にしなくてもいいじゃないですか!」
「断筆宣言とかされたら困るし...小夜も嫌でしょ?」
「それは嫌だけどそれとこれとは話が別...。」
「ゴメン。謝る。私が悪かった。何でも言う事聞くから許して...。」
「じゃぁ、今度”aki”先生に会わせて下さい。」
「実は小夜、会ってる。」
「えっ?」
「前テニス部のとこで友達紹介したじゃない。」
「そんなんじゃわかりません。一緒にお話をゆっくりしたいです。呼んで下さい。」
「わかったから。早紀に話付けとくよ。」
「早紀...烏森早紀先輩ですね?あああの時失礼な事言ったかも...どうしよう...。」
「早紀はそんな細かい事一々気にしないから。大丈夫。任せて。」
「ウチに呼んでくれます?」
「呼ぶ。」
「わかりました。許してあげます。」
「まったく早紀と私、どっちが好きなんだか...。」
「何か言いました?」
「いや、別に?」
私の家に着いた。
「ごめんね、嘘吐いて。でも小夜の事好きなのは絶対に嘘じゃないから。信じて。」
抱き寄せてキスした。
「ずるいですね。穂香先輩。」
そのままゆっくりと離れ、小夜は帰って行った。
見送る私。
ああ、えらいこと約束しちゃったなぁ。早紀も頑固だからなぁ。律子の力借りるか。